症状別
症状別
泌尿器科でよくみられる症状には以下のようなものがあります。これは一般的なものであり、具体的な症状は疾患によって異なりますので、気になることがございましたらお気軽にご相談ください。
日中は8回以上で『頻尿』、夜間は1回以上で『夜間頻尿』と定義されます。
『夜間頻尿』は2回以上で治療が必要な場合が多いと言われています。
その原因は、以下の炎症などの刺激や排尿障害(出し切れない)、畜尿障害(ためきれない)、多尿(そもそもの尿量が多い)などが挙げられます。
まずは、診察・検査により原因となる疾患がないかを検索します。
自分が意識していないのに尿が漏れることを尿失禁と呼びます。
尿失禁は、くしゃみや咳など、お腹に力を入れた時に漏れる「腹圧性尿失禁」、水の音や急な冷えなど、様々な理由により急な尿意を催して我慢がきかない「切迫性尿失禁」、そして、両方の症状がある「混合性尿失禁」の3つに分類されます。
女性の尿失禁は、40代でも2割程度の方が経験されている泌尿器科的な症状であることが報告されています。原因として、肥満や加齢、妊娠・出産による骨盤底筋のゆるみが原因となっていることが分かっています。
まずは、診察・検査により原因となる疾患がないかを検索します。
加齢による症状の場合には、骨盤底筋体操や減量に内服治療を組み合わせた治療計画を提案します。難治症例の場合には、電気刺激療法や手術療法などが可能な施設への紹介も行います。気になる場合には、ご相談お待ちしております。
多くの場合、炎症や尿路結石による症状ですが、時に、がんなどの疾患が隠れていることがあります。性感染症を疑う場合には、相応の検査を行い診断します(性感染症)。
まずは、診察・検査により原因となる疾患を検索します。
炎症や刺激症状を起こす原因が膀胱炎や尿道炎、尿路結石の場合には、抗生剤治療や排石促進療法などの薬物療法により治療を行います。発熱などを伴う場合には、緊急での処置や治療が必要な場合がありますので、状況に応じて他病院に紹介する場合もあります。稀に、がん疾患などの怖い病気も隠れているため、症状の改善が悪い場合や、増悪する場合には精査を行うこともあります。
明け方に急激に発症する睾丸の強い痛みは、注意が必要です。睾丸につながっている血管がねじれて血流が悪くなっている可能性があり(精索捻転症)、その場合には早期に手術が必要となります。そのため、泌尿器科医が在籍し、かつ緊急手術が可能な病院へ至急受診しなければなりません。
当院受診時は、診察とエコー検査により血流の有無を確認します。疑わしい場合は、至急、手術可能な施設へと向かってもらいます。痛みの発症から手術までの時間が、睾丸をとらなくても良いかに大きく影響するため、このような症状の場合にはすぐに対応する必要があります。
痛みがある場合と痛みがない場合で考えることが多いです。
痛みがある場合にはおしっこを作る腎臓、尿の通り道である尿管、膀胱、前立腺(男性のみ)、尿道のどこかで尿が詰まって出にくい原因(尿路腫瘍、尿路結石)、もしくは炎症(腎盂腎炎、膀胱炎、前立腺炎)が起きている可能性があります。
痛みがない場合には、ゆっくりとその原因が生じた可能性があり、尿路のがんや特発性腎出血、腎炎などの疾患を疑う必要があります。
尿路の感染症や尿路結石症の場合には、抗生剤治療や排石促進療法などの薬物療法を行います。がん疾患が疑われる場合には、膀胱鏡検査やCT検査などの精査を行い、診断によっては手術可能な施設への紹介を行います。
尿中に細菌が繁殖するような尿路の感染症によって感じることが多い症状です。尿検査や細菌を同定する培養検査などを行い、原因菌に対する治療を行います。発熱などを伴う場合には、血液検査や超音波検査などを行い、状況に応じて緊急処置が可能な施設への紹介を行うことがあります。
性感染症について詳しくは⇒(性感染症について)
精液の大部分は、前立腺によってつくられています。そのため、精液に血が混じる場合には、前立腺疾患を考慮した検査が必要になります。炎症が強い場合には、抗生剤治療、慢性的な炎症の場合には植物由来の抗炎症剤、そして前立腺がんが疑われる場合には、MRIなどの精査を行います。明らかな疾患が無い場合には、ほとんど1ヶ月程度で症状はなくなり、臨床研究においても治療の必要性がないことが報告されています。症状が持続する場合には膀胱鏡検査などの精査も必要になることがあります。
PSA(Prostate Specific Antigen)は、ほとんどが前立腺から分泌されるため、前立腺の異常を推定するためによく測定される検査項目です。特に、前立腺がんを推定する検査項目として有用であり、川口市でも2023年度より市検診に組み込まれました。PSA値が高い場合には、前立腺がんを含めた前立腺疾患の精査が必要です。
基準値の考え方
PSA基準値は一般に4.0ng/mL以下とされていますが、実際には年齢によってその基準値をより細かく見る必要性が指摘されています(下記)。
50-64歳:≦3.0ng/mL、65-69歳:≦3.5ng/mL、70歳以上:≦4.0ng/mL
前立腺がんは家族集積性が高い(遺伝性がある)ことが知られており、遺伝的な背景も明らかとなってきています。そのため、家系内に乳がん、卵巣がん、膵がん、前立腺がんがいる方の場合には50歳以下であっても、早期から定期的にPSA測定をすることが推奨されています。また、国際的には40代で自分のPSA値を測定することが、前立腺がんの制御において有効であることが報告されています。40代での測定は自費検査となりますが、気になる方はお気軽にご相談ください。
PSAは会陰部の圧迫や炎症によっても数値に変動があるため、健診でPSA高値であった方も来院時に再検し、真にPSA値が高いかを判断します。その上で、基準値を上回っている場合には、前立腺疾患の精査を行い診断に応じて治療を検討します。
学校検尿や職場検診により異常所見を指摘された場合、多くは無症状です。
検尿の異常が、おしっこを作っている腎臓が原因なのか、それとも、おしっこの通り道である尿管、膀胱、前立腺(男性のみ)、尿道のどこかに異常があるのかを検査で明らかにしなければなりません。
成人の場合、蛋白尿は腎機能障害による影響で出現している可能性があります。そのため、検尿だけでなく血液検査や超音波検査などを行い、腎臓の状態を評価します。
成人の尿潜血陽性における主な原因は、尿路の結石、炎症、がん疾患です。そのため、尿検査だけでなく血液や画像の検査も行い原因を検索します。原因が明らかでなくても、病変が小さく評価できなかった可能性があるため、血尿ガイドラインに準拠し、3~6ヶ月ごとに尿検査や超音波検査など痛みのない検査で経過観察を行います。
健診で指摘される場合は、無自覚なことが多いため、真に治療が必要な尿路感染症かどうかを判断する必要があります。外来では、尿検査の再検、膀胱機能評価、菌の同定を行い、治療の必要性について検討します。自覚症状もなく膀胱機能が低下している可能性もありますので、必ず医療機関を受診しましょう。